INDUSTRIAL Member Interviews
05「正・技・美・速」で、高い品質・技術を産み出す。
かまだプリント株式会社
代表取締役久保 裕之
Hiroyuki Kubo / chief executive officer
職人たちの妥協なき手作りへのこだわり。
世界水準の品質を、大阪から。
Kamada Print Co., Ltd.
大阪守口市のアパレルプリントの専門企業『かまだプリント株式会社』。長年蓄積されたノウハウと経験をから生まれた独自の技術を武器に、世界を舞台に躍動する大阪発の技術企業だ。妥協なく仕上がりの美しさを追求する職人集団を率いる代表取締役 久保 祐之氏の仕事にかけるこだわり、インダストリアルへの思いとは。
常に新しいものを。
圧倒的な技術と、あっと驚くアイディアで勝負する。
弊社ではアパレル製品のプリント加工を主として、様々な洋服の加工を行っています。我々にしかできない時術を武器に、大手アパレルメーカーやブランドとお仕事をさせていただいています。いまのアパレル業界において、製造はアジアを中心とした量産型の海外製が中心。その中で、世界と戦い生き残っていくために必要なのは、圧倒的な技術力です。あくまで加工屋として、職人技術を大事にしたプリントにこだわっています。先端技術をいち早く取り入れて、小ロットにしかできない繊細なプリント加工など価値の高い製品作りに取り組み、多方面から評価もいただいていますし、そこが私たちの1番の強みですね。水着のプリントなどウチの会社でしかできない技術も有りますよ。
常に意識していることは、いかにデザイナーが作った世界観をどうやって服に落とし込むか。そこで大事なのはただ色の再現をするだけなく、洋服として機能するかどうかです。ハンドプリントにこだわっているのは、そういうこともあって、そこの技術は落とさないようにしています。また、アパレル業界のトレンドは日々動いていくので、そこにどうやって対応していくか、新しい技術をどう生かしていくか。若いスタッフといろんな意見交換したり、展示会や様々な交流の場に積極的に出て行って、次のアイディアを考えていくところがこの仕事の面白ところですね。
病気で気づかされた新たな人生観。
踏み出した事で、人生のチャンスと出会うことができた。
実は、高校卒業してから今とは全然畑違いの宅配会社で働いていたんです。そこで担当していたのが、今のかまだプリントで、そこで知り合った現在の家内と結婚して、かまだプリントに20代後半で転職することに。初めは右も左もわからない全く知らない世界。はじめは工場に入って試行錯誤の毎日でしたね。その後、何度か生死に関わるような病気で入院することが数度あったんですが、病気をきっかけに「人生悔いの無いようにやりたいことはすぐにやらなあかんな」と考えるようになったんです。そこからは、「思い立ったらすぐやる」をモットーに面白そうなことを見つけたらなんでも食らいついてやってます。(笑)
転機になったのは、45歳で挑戦したパリでの出来事。世界的カラークリエーターのジャン=ガブリエル・コース氏との出会いでした。プリントサンプルを持って出かけたパリの展示会で、モナリザを展示していたガブリエル。「世界は、色で変わる」をコンセプトに、シーンにあったカラーを考えているガブリエルの色使いにとても感動し、私もサンプルを見せて彼にプリント技術を紹介したんです。彼は我々の技術も高く評価してくれ、その場で意気投合しました。そこからは、いろんなことがトントン拍子。すぐに私の付き合いのあった大手アパレルメーカーに彼を紹介し、専属契約を結んで独自ブランドのカラー企画を展開するなど、今ではガブリエル事務所のジャパンエージェントとしての活動もやっています。
全ては、出会いから。
技術を未来へつなぐことにチャレンジしたい。
インダストリアルを立ち上げた松井さんと出会いでも感じた事ですが、めちゃくちゃ私と松井さんは似てるなと感じましたね。人と人をつなげることがとても上手でそこからいろんなアイディアや、新しい取り組みが生まれている。ガブリエルとの出会いで感じたときと同じように、人とのつながりを大切にする松井社長との考にとても共感しました。私にとっても、出会いやそこで繋がった人たちとのつながりを深めることは、技術と同じくらい大切な事。松井さんとは今後の転機になりそうな、とてもいい出会いだったと思います。そして、何と言ってもスピード感。いいなと思ったことをすぐに動ける人は絶対に成功すると思います。今後、一緒にインダストリアルのカラークリエイトなどを一緒にやってみたいなとか、どんどんアイディアが広がっていますよ。私も作業服の加工は経験が浅く、いろんな機能や素材の特性を見ていく中で勉強になっていますし、今後もぜひインダストリアルへ関わって行きたいなと思います。
初めの方でも話しましたが、うちの会社は大量生産には興味がなくて、いかに価値の高い商品を作り続けるかということに重きをおいています。これからは、素晴らしい製品を支える日本の技術を、将来にどうやって繋いでいくかということを考えていくことに力を入れたいと思っています。