INDUSTRIAL Member Interviews
03ブランドの個性を引き出す、型破りのデザイナー
RoughDesign
代表山崎 丈嘉
Takeyoshi Yamazaki / chief executive officer
「好き」を仕事に変える、アイディアを。
見た目ではなく、その先のストーリーをデザインする。
Rough Design
大阪 江坂駅近くのオフィスビルにアトリエを構えるデザインユニット「RoughDesign」。代表のグラフィックデザイナー山崎タケヨシ氏はダイマツ松井氏との出会いをきっかけにインダストリアル事業に関わるように。インダストリアルブランド構築に大きく影響した、彼のクリエイティブに対する思いに迫る。
アメカジ・イラスト好きがきっかけで、
なんとなく飛び込んだ世界が「デザイン」だった。
中学・高校の頃、よくノートに落書きしたりイラストを書くことが好きでした。当時は、あまり真面目でなくて遊び呆けていましたよ。(笑) また、根っからのアメカジ好きの兄に影響されて、私自身もバイクやジーパンなどに憧れてました。そんな中、高校卒業するときになってどうしようか考えてたとき、当時は専門学校が注目されていて、何となくですがデザインの専門学校に進学したんです。そこで出会ったのが、グラフィックデザイン。様々なデザインが、広告やいろんなプロダクトに形を変えていく様に一気に魅了され、将来はデザインで勝負しようと決意しました。
専門学校卒業後は、東京にある大手アミューズメント企業の制作子会社へ就職し、キャラクター・広告・ポップやパッケージなどのデザインを担当していました。締め切り直前に何度も修正したり、徹夜も多くかなりタフ。でもその経験は、今でもアイディアを出す瞬発力として活きていますね。その後は、大阪に戻って複数のプロダクションを経て教育関連の制作会社に入り、学校や塾などの広告・パンフレット・WEB関連のクリエイティブに携わってきました。クリエイティブディレクターとして大学の公式サイトやパンフレットといった大型案件を経験することができ、プロジェクト全体を俯瞰する力を掴めたと思います。
「デザインは、アートではない」
常に課題解決を意識した提案にこだわる。
今は、RoughDesignという屋号でフリーランスで活動中です。縁あって、いろんなクライアントさんとお仕事させてもらっていますが、今の仕事内容としては、部分部分の細かいデザインというよりは、ショップのロゴや店内のイメージなどブランド全体を作り上げることが主になっています。点でデザインするというよりは、面で全体を捉えて考えて行くようなイメージ。フリーになって、経営者に直接プレゼンすることが多くなったことも影響があるかもしれません。そこでは、やはり全体を通した提案が大事ですし、そうすることで提案が採用されているんだと思います。細かな商材を提案するときも、その背景にあるブランドイメージをいかにストーリーにしていくかということを心がけています。
東京のプロダクション時代の師匠から教えられたことですが、「デザインはアートではない」ということを口すっぱく言われましたね。やはりデザインを通して、クライアントの課題解決につながっているのかということが大切です。デザイナーの独りよがりになっていないか。ここは常に意識している点です。人をワクワクさせて惹きつける事はもちろんですが、クライアントの売り上げなり、ブランド構築に役立っているのかなど、その先の「成果につながるデザイン」というところはこだわってやっていきたいと思っています。
ワーカーズ業界の持つ隠れた魅力。
業界を超えたクリエイティブの輪で発信していきたい。。
インダストリアルに関わるようになって、これまでなかった加工技術を持った企業とコラボして新しい提案などもしていますが、これがワーカーズにどう響くかなど潜在的なマインドを意識してデザインしています。松井社長と出会って、はじめにロゴや店舗イメージを提案したときのテーマは「サヨナラ退屈な労働者たち」。働く職人たちに明るい未来を持って欲しいと願ったことから生まれたテーマでした。自分の友人にも、建築関係の職人がたくさんいて、彼らも自分なりにこだわりやこうありたいという未来を秘めていました。そんな職人たちと話をしている中で、自分が好きだったアメカジの世界観とリンクしたんです。例えば、職人が使い古した道具や、ダメージのある作業靴って、ほかの業界にしてみたら、古着とか逆にオシャレなアイテムとして扱われていますし、そういうワーカーズの隠れた魅力を、視点を変えて発信することで、ワーカーズ業界自体への世間の見方が変わると思っています。
インダストリアルを通して、表現するクリエイターや、店舗に来店されるワーカーズ・職人さんたちの輪が広がって、今、業界やいろんな垣根を超えたクリエイティブの輪が広がろうとしています。実際、私自身デザインしたカスタム服などを使っていただいた職人さんと話をすることで新しいアイディアが湧いたりしていますし、一緒にプロダクトを開発した職人とこれまでなかったアイテムを作ったりと、関わる全員がワクワクした仕事ができていますね。まさに、松井社長が思い描いた、「お客様・メーカー様・クリエイター」がインダストリアルのフラッグのもと、新しいムーブメントが起こせるんじゃないかと僕自身期待しています。